見えない貧困と向き合う〜ショートステイで出会った子どもとの記録〜

スポンサーリンク
みんなに知って欲しい

福岡市でショートステイ里親を続けていると、時折、私たちの想像を超える現実と向き合うことがあります。服や靴のサイズがあっていなかったり、穴が空いているものがあったり良い状態ではないことがあります。

「見えにくい子どもの貧困」という現実に直面するのです。

日本では7人に1人の子どもが相対的貧困状態にあると言われています。しかし、その多くは表面化せず、私たちの日常生活からは見えにくいところで起きています。ショートステイ里親として活動する中で、このような現実に触れることが少なくありません。

今回は、一人のお子さんとの出会いをきっかけに始まった、地域ぐるみの支援の取り組みについてお話しします。小さな気づきが、どのように大きな支援の輪へと広がっていったのか。そして、私たち一人ひとりができることについて、一緒に考えていただければと思います。

スポンサーリンク

3歳男児Rくんのショートステイ記録

受け入れ時の様子

保育園に通い始めたばかりの3歳の男の子、Rくんを受け入れました。前回のショートステイでは5歳のお兄ちゃんと一緒に里親宅で過ごしましたが、普段から兄弟喧嘩が激しく、里親宅でも落ち着かない様子だったとのことでした。そのため今回は、お兄ちゃんは前回と同じ里親宅へ、弟のRくんは私たちの家庭で受け入れることになりました。

Rくんにとってショートステイは初めての経験ではありませんでした。母親や兄弟と離れても泣くことはなく、むしろ「この家には何か面白いものはないかな」といった様子で、部屋を興味深そうに見回していました。事前に聞いていた話では言葉遣いが荒く乱暴な印象でしたが、実際に会ってみると普通の可愛らしい男の子でした。環境が変わったことで、いつもとは違う一面を見せていたのかもしれません。

持ち物の確認で気づいたこと

まず、保育園から持ち帰った荷物を整理することにしました。預かっている間の洗濯も私たちの役割です。保育園で使用したタオル、スモック、歯ブラシセットなどを取り出していると、スモックの脇から腰にかけての部分が大きく破れているのに気づきました。自然なほつれではなく、意図的に破いたような状態でした。お兄ちゃんがやったのかもしれないと思いましたが、Rくんには確認せず、これ以上破れが広がらないよう洗濯ネットに入れて洗濯機にかけました。

入浴時の観察

お風呂の時間になりました。家庭環境に不安がある場合、体に暴力の痕跡がないか確認することも大切な役割の一つです。幸い、Rくんの体に気になるアザなどはなく、膝に転倒したと思われる小さな傷があるだけでした。

お風呂上がりに肌着を着せようとしたところ、指が通るほどの穴が開いているのを発見しました。慌てて荷物から他の肌着を探しましたが、持参された3枚すべてに穴が開いていました。

記録と後日の対応

ショートステイ中に気になったことは、すべて記録ファイルに記載して提出することになっています。スモックや肌着の状態についても、詳細に記録しておきました。

ショートステイ終了後、担当スタッフからスモックや肌着の件について確認の連絡がありました。保育園側も約1か月前から新しいスモックの購入を勧めていたものの、そのままの状態が続いていたことが分かりました。経済的な事情で新しい衣類の購入が困難だった可能性を考慮し、スタッフが母親に経済的状況を確認。そして子どもの衣類を支援する団体につないでくれることになりました。スタッフのRくん家族への迅速で的確な対応と、私への報告までしてくださる心遣いで安心することができました。

※このエピソードは実体験に基づいていますが、関係者のプライバシーを保護するため、個人が特定されないよう一部の詳細を変更または省略しております

保育士さんも心配していたRくんのスモックや肌着のやぶれ。新しいものの購入を促していたにもかかわらず、経済的な理由から購入できなかった母親。しかし、ショートステイ里親スタッフからの紹介で、子どもの服を支援してもらえることになりました。
ショートステイを利用していなければRくんは、もしかしたらまだ破れたままのスモック、穴の空いたままの肌着を着ていたかもしれません。

ショートステイで出会った子どもたち

ショートステイ里親で預かるお子さんの持ち物には、服や靴のサイズがあっていなかったり、服が汚れてたり、穴が空いていることがあります。
その背景にはネグレクトなどの精神的なものからくる理由と、貧困などの経済的な理由が隠れていることがあります。
スタッフさんに報告することで、その家庭の様々な背景を考慮し、今この子にどんな支援が必要なのか、的確に対応してもらえます。

私も今回のRくんのことをきっかけに、寄付された子ども服をリユースしたりする取り組みがあることを知り、息子がもう着なくなった洋服や履かなくなった靴などを寄付するようになりました。支援が必要な子どもに届き、喜んでくれると嬉しいです。

福岡市での取り組み

👕 学生服のリユース「制服バンク福岡」


👖 「めぐりふくプロジェクト」:子ども服リユース全国支援

  • 2024–2025年にかけ、クラウドファンディングで支援金を募り、全国200世帯の子ども服セット(上下10枚)を無償発送。

  • 福岡発の動きではありませんが、全国の動きを知ることで福岡でも応用できるモデルです camp-fire.jp


🧥 ファイバーリサイクルショップ「ゆうあい福岡」

  • 福岡市東区・早良区に店舗を構え、衣類小物を新しい持ち主に繋げるリユース取り組み。

  • パキスタン支援へも連携する国際的視点をもち、地域内でも衣類の有効活用を進めています note.com


🎒 ランドセル支援「セカンドライフ」

  • 福岡市西区から全国へ、古ランドセルを寄付して世界の子どもへ送る取り組み。

  • ランドセル数に応じてワクチン寄付も連動するなど、多面的な支援を展開しています 。

他にもあるかもしれませんが、いくつか福岡で行われているものを取り上げてみました。

まとめ

一人のお子さんの持ち物から始まった今回の取り組みを通じて、私は改めて「小さな気づきが大きな変化を生み出す力」を実感しています。

支援は決して特別なことではありません。家庭で着なくなった子ども服、サイズアウトした靴、使わなくなった学用品。私たちの身の回りには、困っている子どもたちの力になれるものがたくさんあります。大切なのは、まず「気づくこと」、そして「行動に移すこと」です。

ショートステイ里親として活動する中で出会う子どもたちは、私たちに多くのことを教えてくれます。今回の経験も、子どもたちが私たちに与えてくれた大切な学びの一つです。この取り組みが他の地域にも広がり、より多くの子どもたちが安心して笑顔で過ごせる社会になることを心から願っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました