【福岡市】子どもの短期預かり支援ショートステイ里親のこれから

スポンサーリンク
みんなに知って欲しい

私自身、ショートステイ里親として活動する中で、ショートステイ制度の可能性と課題の両方を肌で感じました。 このブログでは、福岡市のショートステイ里親制度が今後どのように発展していくべきか、そして私たちにできることは何かを考えていきたいと思います。 子どもたちの笑顔のために、この制度がさらに進化していくための展望をご一緒に探っていきましょう。

広報活動の重要性

福岡市では、里親制度やショートステイ里親の普及のために積極的な広報活動を行っています。広報活動の重要性は以下の点にあります:

制度の認知度向上

  • 里親制度自体の社会的認知度を高める
  • ショートステイ里親サービスの存在を子育て家庭に知らせる

「ショートステイ」と聞くと、多くの方が高齢者のデイサービスを思い浮かべます。また「里親」という言葉からは、犬や猫の里親制度をイメージする方が大半です。子どもを短期間お預かりする制度だと、すぐにピンとくる方はほとんどいないのが現状です。

新たな里親の開拓

  • 里親になることに興味を持つ人を増やす
  • 特にショートステイのような短期間の支援から始められる選択肢があることを周知

里親と聞くと、子どもが大きくなるまで養育する、養子縁組して自分の子供として一生育てていくというイメージの方がまだまだ多いようです。
私が初めてショートステイでお預かりしたお子さんのお預かり期間は2泊でした。たった2泊なのにママさんにとても感謝してもらえて、「人助けができた、私でも役に立てた」という充実感がありました。

偏見や誤解の解消

  • 「里親に子どもを取られてしまう」などの誤解を解消
  • 里親制度は子どもと実親の関係を断絶するものではなく、支援するものであることを伝える

子どもを預ける保護者さんの中には、「里親ではなく施設に預けたいです。」と言われる方がたまにいて、よくよく話を聞くと、”里親さんのところが楽しくて、子どもが家に帰りたくなくなるのではないか。”と不安に思っている方がいるそうです。
私たち里親は、保護者さんがまた子育てを頑張れるようにサポートするのであって、子どもを家族から奪うために活動しているのではありません。私個人の意見ですが、子どもはママと一緒にいるのが一番幸せだと思っています。

地域コミュニティの意識醸成

  • 子育ては社会全体で行うものという意識の普及
  • 「みんなで里親」という考え方の浸透

福岡市の広報活動は、官民協働のチャレンジとして行われており、里親制度という複雑でセンシティブな情報を適切に伝えることに力を入れています。特に実親の不安を解消するための配慮や、里親の不安を和らげるための工夫がなされています。
里親のための勉強会は私にとって得るものが多く、里親の交流会では他の里親さんと悩みの共有や、意見交換ができるので、私は極力参加するようにしています。

年度ごとの報告書から見る進捗

福岡市の里親制度に関する報告書によると、里親委託率は年々上昇しています。

里親等委託率の推移

  • 2009年度末:20.9%
  • 2015年度末:33.3%
  • 2024年度末:57.3%(全国トップレベル)
  • 乳幼児の里親等委託率:87.5%

この成果は、福岡市が2016年度から「家庭移行支援係」を設置し、施設入所児童の家庭養育への移行を積極的に推進した結果でもあります。取り組みによる具体的な変化として

  • 施設児童数の大幅減少:2015年度末288名→2021年度末120名
  • 乳児院から児童養護施設への措置変更児童数の減少:20名(2013-15年度)→0名(2016-18年度)
  • 支援プロセスとして、児童面接・保護者面接・親族面接の回数の増加
  • 親族養育や里親養育へ移行した児童の増加
  • 長期入所後(6年以上)に家庭復帰した児童の増加
    があります。

また、近年では短期養育へのシフトとして、以下の取り組みが進んでいます

  • 一時保護委託里親の積極開拓と委託
  • ショートステイ里親の拡大(登録数100名超)
  • 里親ショートステイの拡大(児童家庭支援センターとフォスタリング機関による調整・支援)
  • 親子ショートステイの開始(乳児院、児童養護施設、母子生活支援施設、フォスタリング機関)

これらの進捗は、里親養育推進のための実践事例として、こども家庭庁でも取り上げられています。

オンラインコミュニケーションの活用

福岡市およびSOS子どもの村JAPANでは、オンラインコミュニケーションを活用した里親制度の広報と支援を行っています。

  1. 情報発信プラットフォーム
    • ウェブサイトでの情報提供(福岡市こども総合相談センターえがお館、SOS子どもの村JAPANなど)
    • SNSを活用した広報活動
    • オンライン相談会の実施
  2. 「里親って?カフェ」のオンライン開催
    • コロナ禍においてもオンラインで里親に関する説明会や相談会を継続
    • 里親に関心のある方が気軽に参加できる環境の提供
  3. デジタル教材・資料の提供
    • ショートステイ里親ハンドブックのPDF配布
    • 里親制度に関する情報のオンライン提供
    • 里親研修の一部オンライン化
  4. オンライン申請システムの整備
    • ショートステイの利用申請や相談のオンライン化の検討

特に「里親って?カフェ」は、里親制度に関心のある方に向けた質問・相談会として定期的に開催されており、参加者が里親制度について理解を深め、疑問や不安を解消する場として機能しています。

コロナ禍を経て、オンラインコミュニケーションの重要性が高まり、地理的制約を超えた広報活動や相談支援が可能になっています。「ショートステイ」と聞くと、多くの方が高齢者のデイサービスを思い浮かべます。また「里親」という言葉からは、犬や猫の里親制度をイメージする方が大半です。子どもを短期間お預かりする制度だと、すぐにピンとくる方はほとんどいないのが現状です。

認知度向上への取り組み

私自身、ショートステイ里親制度をより多くの方に知ってもらうため、様々な活動に参加してきました。

情報発信活動

  • ブログでの里親情報発信
  • 「里親って?カフェ」での相談会開催
  • SOS子どもの村JAPAN「News Letter」への体験談寄稿
  • 里親ショートステイ事業者向け「全国ネットワーク会議」での講演

これらの活動を通じて、制度に興味を持つ方や詳しく知りたい方との出会いはありますが、まだまだ社会全体での認知度は低いと実感しています。

スポンサーリンク

里親制度における課題

施設との連携の難しさ

福岡市の里親制度において、施設との連携には以下のような課題があります:

  1. 役割分担の明確化
    • 施設と里親それぞれの役割と専門性をどう活かすか
    • 子どもの最善の利益を考えた上での措置決定(施設か里親か)の判断基準
  2. 情報共有の課題
    • 子どもの情報を適切に共有するシステムの構築
    • 個人情報保護と支援に必要な情報提供のバランス
  3. 移行支援の課題
    • 施設から里親家庭への移行時の子どものケア
    • 乳児院から児童養護施設への措置変更を減らし、家庭養育へつなげる取り組み
  4. 専門的支援の提供
    • 施設が持つ専門性(心理ケアなど)を里親家庭でも活用できる仕組み
    • 里親支援専門相談員の役割拡大と機能強化

福岡市では、これらの課題に対応するため、施設と里親の連携を強化する取り組みを行っています。例えば:

  • 里親が養育する子どもの自立支援計画策定への施設職員の参画
  • 施設での里親研修・実習の実施
  • 施設の里親支援専門相談員による里親家庭訪問
  • 施設と里親の交流会の開催

特に里親支援専門相談員は、施設と里親をつなぐ重要な役割を担っており、入所児童の里親委託推進、里親交流中の支援、委託後の行事招待等の連絡、相談対応などを行っています。今後もこの連携を強化することが課題となっています。

まとめ

福岡市のショートステイ里親制度は、子育て家庭のセーフティネットとして今後さらに重要性を増していくでしょう。現代の複雑化する家庭環境や働き方の多様化に伴い、一時的な養育支援の需要は高まる一方です。

この制度が真に地域に根付き、持続可能なものとなるためには、いくつかの課題を乗り越える必要があります。里親の高齢化と新たな担い手の確保、多様化するニーズへの柔軟な対応、そして何より、社会全体の「子育ては社会で担うもの」という意識の醸成が不可欠です。

私たち一人ひとりにできることは、まずこの制度を知り、周囲に伝えていくこと。そして可能であれば、里親として活動すること。あるいは里親家庭を温かく見守り、支える地域の一員となることです。
福岡市のショートステイ里親制度が目指すのは、子どもが笑顔で、保護者が安心して、そして里親自身も充実感を持って生活できる社会です。いつでも「助けて」が言えること、「誰一人取り残さない」子育て支援のあり方を、私たちの手で創り上げていきましょう。小さな一歩の積み重ねが、やがて大きな変化をもたらすことを願っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました