里親になって3年が経ちました。ショートステイで預かるお子さんを迎える前は「どんな子が来るのかなぁ」と不安な気持ちもありました。実際に里親をやってみて里親さんとお話をしていると、「うちもそれあったよ!」「私もそれ思ってた!」という会話になることが度々あったので”里親あるある”について投稿してみようと思いました。
これから里親を目指す方に知ってほしい、そして現在里親として奮闘中の方に「あるある!」と共感していただけるとうれしいです。
家が散らかっている
これは里親あるあるというより、家事や育児に追われている子育てママあるあるかもしれません。お子さんをご自宅まで迎えに行き、お部屋に案内されることも多いのですが、靴が散乱した玄関、干しっぱなしの洗濯物、脱ぎ散らかした衣類、敷いたままの布団を見かけることが多いです。
最初の頃は正直驚きましたが、今では「お疲れ様です」という気持ちで見ています。お預かりが終わってご自宅に伺うとお部屋がきれいになっていたりします。お預かり中は保護者さんがお子さんに邪魔されることなく家事に専念できるので、イライラやストレスなく家事がはかどるのです。
私自身も子育て経験があるので、小さな子どもがいると家事が思うように進まないことは痛いほど理解できます。保護者さんにとってショートステイは、心身を休め、溜まった家事をこなす貴重な時間なのだと実感しています。
家庭環境の違いを痛感
ショートステイ里親を利用する際には、毎日どのように過ごしているか受入表にタイムスケジュールを書いてもらっています。一般的な幼児だったら20時〜21時くらいには就寝していると思いますが、就寝時間が0時、1時のお子さんがいます。保育園や幼稚園に通っていてもです。
それを聞いたら「その時間に寝て、朝起きれるの?」と思いますよね?もちろん起きられません。保育園や幼稚園はほとんど毎日遅刻です。保護者として子どもが遅刻しないように子どもの時間管理をするのが通常だと思うのですが、産後うつや精神疾患などがあると、朝起きられない、朝の支度が辛いという保護者も多く、夜型の生活スタイルになってしまっているのです。
パジャマを着せる習慣がない家庭も多く、荷物にパジャマが入っていないことも多いです。お子さんが自宅では一日中同じ服装で過ごしていることが想像できます。私たちの家では、お預かりの際に必要に応じてパジャマを貸し出すこともあります。
これらの違いに最初は戸惑いましたが、今では各家庭の事情や状況を理解し、お子さんが我が家で安心して過ごせるよう配慮しています。生活リズムを急に変えるのではなく、少しずつお子さんのペースに合わせながら、規則的な生活に慣れてもらうよう心がけています。
驚きの食生活
産後うつだったり、精神疾患などがあったりすると朝起きられず、子どもに朝ごはんを食べさせていないこともあります。朝食の時間が遅くなることで昼食が一緒になってしまっていることもあります。給食の時間にも遅れてやってきたのに「(寝坊して朝ごはんを家で食べられなかったので)給食は必ず食べさせて下さい」と保育士さんに頼むママさんがいると保育士さんが嘆いていることもありました。
好きな食べ物が”ふりかけご飯”や”コンビニおにぎり”というお子さんも多いです。先ほども説明したように、産後うつや精神疾患などで朝起きられない、行動するのが辛い、食事の準備もままならない方が多くいるということです。
我が家でお預かりする際は、栄養バランスを考えた食事を提供するよう心がけていますが、お子さんが食べ慣れない食材に戸惑うこともあります。そんな時は無理強いせず、少しずつ新しい味に慣れてもらえるよう工夫しています。「これ美味しいよ」「一口だけ食べてみる?」など、楽しい雰囲気の中で食事の時間を過ごすことを大切にしています。
子どもの持ち物について
子どもの持ち物からタバコの匂いがしたり、柔軟剤の香りがキツかったりが多いです。子育て中の方でも喫煙される方もいますが、子どもの前では吸わないことはもちろん、子どもの服や持ち物にも煙が行かないよう気を遣って欲しいです。
最近では保育園や幼稚園でも柔軟剤や消臭剤、香水などの香りについてのお便りがあったり、張り紙で注意喚起しているところも多いですよね。我が家ではお預かりするお子さん用に、無添加の赤ちゃん用洗剤を使っているのですが、何度洗濯してもにおいが取れないくらい柔軟剤の香りが染み付いていることがあります。
パートナーからのDVに怯えてタバコをやめて欲しいと言えない、タバコでストレスを発散しないとやってられない、無添加の洗剤は高価だから大容量の安い柔軟剤しか買えないなどの背景があると思います。
このような状況を目の当たりにすると、保護者さんの置かれている複雑な環境や経済的な困難さを感じずにはいられません。私たちができることは、お子さんが快適に過ごせる環境を整え、保護者さんを責めるのではなく理解を示すことだと考えています。
時間にルーズ
約束の時間になっても来ない保護者さんは多いです。最長2時間も待たされたという職員さんもいました。精神科に通っていて服薬している方も多く、薬の副作用で寝坊してしまったり、家事や育児に追われて約束の時間を忘れてしまっていたり、勘違いしていた、うつ状態で人に会いたくなかったなどの理由が主です。
ショートステイ里親を引き受ける時は保護者さんが遅刻して来られる可能性も考えて、時間に余裕を持たせるようにしています。最初は「なぜ時間を守れないの?」とイライラすることもありましたが、今では保護者さんの状況を理解し、柔軟に対応するよう心がけています。
時間に遅れてきた保護者さんを責めるのではなく、保護者さんの背景にあるさまざまな事情を考えることで、保護者さんの負担を少しでも軽減できればと思っています。
子どもにショートステイの説明をしない
ショートステイ里親を利用する時にはお子さんに予め、他の人の家に泊まること、何日泊まるか、必ず迎えに行くことを伝えておくように推奨されています。しかし子どもにショートステイ里親の利用を知らせずにお預かり当日を迎える保護者さんも多いです。
初めてショートステイを利用するお子さんは自分の荷物を持って、もちろん保護者と一緒に遊びに行くつもりになっています。いきなり知らない人が来て保護者と離れ離れになるのはお子さんにとって大変なストレスです。親と離れ離れになって信頼できる人は誰もいない、何日知らない人の家にいるのか、なぜここに連れて来られたのかわからず傷つき、不安な気持ちは子どものトラウマになる可能性だってあります。
このような状況に遭遇した時は、お子さんの不安を和らげることを最優先に考えています。「ママは必ず迎えに来るからね」「○日後にママに会えるよ」「ここは安全な場所だよ」と繰り返し伝え、お子さんが安心できるよう努めています。
ショートステイの説明をすると「嫌だ!ママと離れたくない!」とお子さんが泣き出してしまうかもしれませんが、予め期間を知らせる、なぜ行くのか伝える、必ず迎えに行く事を説明をしておくことでお預かりの間お子さんが不安なく過ごせるのです。
子どもに嘘をつく
子どもに嘘をつく保護者さんもたまに見かけます。「悪い子にしてたらおーちゃんちに連れて行くからね!」と言われていて、ショートステイ里親を利用したときに『私、悪いことしたのかなぁ?』と悩むお子さんもいました。「○○ちゃんはいい子なのにね。」と私が言うと『うん‥』と言いながらポロポロと大粒の涙をこぼしていました。
このような場面に出会うと、胸が痛みます。お子さんに「あなたは悪い子じゃない」「ママはあなたを愛している」「ここに来たのはあなたが悪いからじゃない」ということを、時間をかけて伝えています。子どもの自尊心を傷つけるような嘘は、長期的に見て親子関係に悪影響を与えかねません。
子どもに嘘をつく、本当の事を言わない背景には、子どもが自分から離れて行くのが怖い、自分が悪者になりたくない、子どもに泣かれるのが面倒などの不安な気持ちがあるのかもしれませんね。ショートステイ里親を利用することについて子どもに伝えておかない人、嘘をついて子どもをコントロールしようとする人はその時は良くても、後々子どもとの信頼関係が壊れてしまうのでおすすめしません。
里親として大切にしていること
- 完璧を求めすぎないことは特に重要です。保護者さんも里親も、誰もが完璧ではありません。できることから始めて、少しずつ改善していけばいいのです。お子さんにとって必要なのは完璧な環境ではなく、愛情と安心感です。
- 子どものペースを尊重することも欠かせません。環境が変わることで戸惑うのは当然です。無理に我が家のルールに合わせるのではなく、お子さんの気持ちに寄り添いながら、徐々に慣れてもらうことを心がけています。
- 困った時は一人で抱え込まないことも大切です。児童相談所の職員さんや他の里親さんとの連携は欠かせません。相談できる相手がいることで、適切な対応ができるようになります。
- 里親仲間との情報共有を大切にすることで、より良いケアができるようになります。他の里親さんの経験談や工夫は、とても参考になります。「あるある」を共有することで、お互いに励まし合え改善策を知ることもあります。
- 子どもの最善の利益を常に考えることは里親をやって行く上での基本です。お子さんが安心して過ごせること、健やかに成長できることを最優先に考えて行動しています。
これから里親を目指す方も、現在里親として頑張っている方も、里親あるあるから保護者や子どもが置かれている現状を想像してみて下さい。
まとめ
里親になって感じる「里親あるある」は、最初は戸惑うことばかりでした。家庭環境の違い、生活習慣の違い、価値観の違いなど、自分たちの常識とは異なることが多く、どう対応すればいいのか分からないこともありました。
もちろんショートステイ里親の利用者全てがこれらに当てはまるということではありません。しかし、これらの「里親あるある」の背景には、ショートステイ里親を利用する保護者さんの辛く苦しい現状が隠れているかもしれないということを忘れないでください。
産後うつ、精神疾患、経済的困窮、DV、社会的孤立など、様々な困難を抱えながらも、子どもを愛し、なんとか子育てをしようと努力している保護者さんがほとんどです。完璧でなくても、できる範囲で精一杯子どもと向き合っているのです。
そういった状況の中、ショートステイ里親を見つけ出し、利用してくれるのですから、私たちとしても保護者さんの勇気と決断を尊重したいと思います。お預かりしている間、お子さんの笑顔が増えたり、新しいことに挑戦したりする姿を見ると、子どもとの絆が深まり、私たち夫婦も成長できたと感じています。
これから里親を目指す方も、現在里親として頑張っている方も、里親あるあるから保護者や子どもが置かれている現状を想像してみて下さい。そして、完璧を求めるのではなく、今できることから始めて、お子さんにとって安心できる場所を提供していけたらと思います。
里親の役割は、一時的であっても子どもたちの安全基地となることです。愛情をもって接し、お子さんが「ここは安心できる場所だ」と感じられるよう努めることで、きっとお子さんの心に温かい記憶として残るはずです。そして、それが保護者さんにとっても、心身を休める貴重な時間となり、より良い親子関係を築くきっかけになるかもしれません。
里親という役割を通じて、私たちも多くのことを学ばせてもらっています。これからも一人ひとりのお子さんと保護者さんに寄り添い、できる限りのサポートを続けていきたいと思います。
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