【体験談】福岡市ショートステイ里親の記録|子ども達との忘れられない思い出

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みんなに知って欲しい

ショートステイ里親として様々な子どもたちをお預かりする中で、思わず笑顔になってしまう可愛い瞬間と、胸がキュッと締め付けられるような切ない瞬間の両方に出会います。

子どもたちの純粋な言葉や仕草は、私たち大人が忘れかけていた大切なことを思い出させてくれる一方で、家族と離れて過ごす子どもたちの心の奥にある寂しさや不安を垣間見ることもあります。

今回は、ショートステイでお預かりした子どもたちとの日常で起こった、心がほっこりすると同時にちょっぴり切なくなったエピソードをご紹介したいと思います。これからショートステイ里親を考えている方や、同じように子どもたちと関わる方に、少しでも参考になれば嬉しいです。

子どもたちと過ごしたどの瞬間も、子どもたちの素直さと強さに教えられることばかりでした。

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可愛い姉妹とのエピソード

3歳Hちゃんと5歳Aちゃん姉妹

1日目 初めての出会い
いつもはショートステイ利用者さんのご自宅までお迎えに伺うことが多いのですが、この日は珍しく私の最寄り駅での待ち合わせでした。

夫婦で離婚の話し合いをするため、お子さんを預かってほしいとのご依頼で、3泊4日のお預かりです。忘れ物があったらしく、待ち合わせ時間から少し遅れて改札から出てきたのは、若いママさんと可愛い姉妹でした。

「こんにちは」と笑顔で挨拶してくれるお姉ちゃんのAちゃんと、ママの後ろに隠れながらこちらの様子を伺っている妹のHちゃん。ワクワクしているお姉ちゃんと不安そうな妹ちゃんで、対照的な二人の様子が印象的でした。

荷物の確認が終わり、ママが電車で帰るのを改札まで見送りました。施設からチャイルドシート2台をレンタルしていたので、スタッフさんがチャイルドシートを自宅まで運んでくれることになりました。

着替えなどの荷物を持った私が先頭に立ち、お姉ちゃん、妹ちゃんの順で手を繋いで歩きます。スタッフさんが後ろから付いてくる形で自宅へ向かいました。

ママがいなくなっても泣かずにいる二人を見て、「泣かないんだ…」と思いましたが、それを声に出してしまうと泣いてしまうかもしれないので、無言でスタッフさんとチラッと視線を合わせました。確認はしませんでしたが、スタッフさんも同じことを思っていたようで、お互いの気持ちが通じ合っているのを感じました。

家に着くと、お姉ちゃんは自分の靴だけでなく妹の分まできちんと揃えてくれました。面倒見が良く、とてもしっかりしているなという印象でした。

夏休み中だったので、自宅で夫と一緒に待っていた息子と初対面です。「一つ上のお兄ちゃんだよ。お姉ちゃんと同じ名前なんだよ」と伝えると、3人とも驚きと嬉しさではしゃいでいました。

他にも共通点がないか探していると、誕生日が1年と1日違いということが判明。「これはもう、運命じゃない?」というお姉ちゃんの一言に、女の子らしい感性だなと微笑ましく感じました。

夜になっても二人は泣くこともなく、入浴や夕食を済ませて、何事もなく眠りにつきました。

2日目 悩みを打ち明けてくれた日
夏休みだったのもあり、みんなで近所の水遊びイベントに出かけました。息子とお姉ちゃんはキャーキャーはしゃいでいましたが、妹ちゃんは2日目も控えめな様子でした。ただ、昼食でマクドナルドに立ち寄った時は、ハッピーセットのおもちゃをもらって嬉しそうな表情を見せてくれました。

午後からは買い物をして帰宅しました。
入浴と夕食を済ませてから、それぞれ布団に入って「今日の水遊び楽しかったね。」なんて話をしていると、なんだかお姉ちゃんの元気がありません。

私が「どうしたの?」と聞くと、お姉ちゃんが「パパとママ、喧嘩してたの。」と言いました。子どもたちを預ける前に、離婚の話し合いでヒートアップしていたのでしょう。なんとなく想像できましたが、知らないふりをして「そうなんだ。」とだけ答えました。

お姉ちゃん:「パパがすごく怒ってて、ママ泣いてたの。」
私:「えー!それは悲しい気持ちになるね。」
お姉ちゃん:「うん。仲良くして欲しいけど」
私:「そうだね。みんな仲良しがいいよね。」

こんな時は特に誰の味方もせず、ただ話を聞くだけです。

まだ小さい子どもたちの前で夫婦喧嘩はできないと、ママがショートステイを選択してくれたのでしょう。悲しい結果にならないでほしいと思いましたが、夫婦の問題に里親が立ち入るべきではありません。

ただただ話を聞いて、お姉ちゃんが落ち着いたところで「明日もお出かけするから、もう寝ようか。」と寝るように促しました。

3日目 神社での悲しいお願い
近所の神社にお参りに行くことにしました。危険な箇所が少なく、鳩や鯉の餌やりをすると子どもが喜ぶので遊び場に悩んだら来る場所です。
神社に行くと伝えると、「パパとママが仲直りするようにお願いする!」と張り切っているお姉ちゃんの言葉に、私は思わず胸が痛くなりました。なんとなくAちゃんHちゃんの両親のこれからが想像できていただけに、何もできずただ心苦しかったです。子どもは、どんなパパやママでも無条件に大好きなんですよね。大人の事情なんて関係なく、ただ家族みんなが笑顔でいてほしいと願っているのです。

神社に着くと、お姉ちゃんは真剣な表情で手を合わせ、目をぎゅっと閉じて一生懸命お祈りしていました。その横で妹ちゃんも、お姉ちゃんの真似をするように小さな手を合わせています。二人の純粋な祈りの姿を見ていると、私も心の中で「この子たちの願いが叶いますように」と祈らずにはいられませんでした。

参拝の後は、境内にいる鳩や池の鯉に餌やりをしました。餌を投げるたびに「わー!」「こっちにも来た!」と歓声を上げる子どもたち。妹ちゃんも初めて大きな声で笑っていて、少し緊張がほぐれたようでした。

こうして楽しい時間を過ごすことで、少しでも重い気持ちが晴れてくれたらいいなと思いながら、子どもたちの笑顔を見守っていました。

4日目 本当の親子のような姿
日を重ねるうちに、子ども達との距離がぐっと縮まり、今ではすっかり仲良しになりました。特に朝の時間は、子ども達にとって一番楽しいひとときのようです。

この日も朝から、子ども達は夫の背中に次々と馬乗りして、まるで人間の馬のように遊んでもらっていました。その光景を見ていると、まるで3人兄弟のような自然な関係性が築かれていることを実感します。血のつながりを超えて、本当の家族のように過ごしている姿は、見ているだけで心が温かくなります。

そして何より印象的なのは、夫の子ども達への接し方です。どんなに疲れていても、子ども達の相手を嫌がることなく、優しく丁寧に遊んであげる姿。その包容力と愛情深さに、改めて夫への感謝の気持ちが湧き上がってきます。
子ども達の笑い声と夫の優しい声が響く朝の風景がこのまま続けばいいのに、なんてことまで想像してしまいました。

楽しい時間もお預かりが終われば終了。ショートステイ利用がなければ子ども達に会うこともできません。同じ名前の可愛い二人はまたいつか会うことを誓って別れました。

ーそれから2ヶ月後、2回目のお預かりー
再び離婚の話し合いをされるそうで、可愛い姉妹が2度目、4泊5日のショートステイの利用になりました。お姉ちゃんがママに「またAくんのいるおうちに行きたい!」と言ってくれたそうで、ママからのリクエストでステイ先が我が家に決まりました。私も息子も姉妹がリピートしてくれてとても嬉しかったです。ステイの依頼が決まって約2週間の間、息子はおもちゃ屋さんで見つけた指輪を「Aちゃんにあげるんだ」と言って購入し、毎日会えるのを楽しみにしていました。 一方お姉ちゃんの方は、お預かり終了後しばらくしてからおねしょするようになったらしく、寝るときだけおむつを履かせてくださいとのことでした。

1日目  再会
忘れ物があったらしく、待ち合わせ時間から少し遅れてタクシーでやってきました。タクシーから降りてこちらに気づき、手を振りながら笑顔で駆け寄ってくる姉妹。初めて会った時の不安そうな妹ちゃんはもういませんでした。

「すいません。またお願いします。」と言いながらやってきたママは、大きなスーツケースを持っていました。(離婚の話し合いと聞いていたけど旅行にでも出かけるのかな?)と思っているとスタッフさんが「お出かけされるんですか?」と聞き、「今から実家に帰るんです」とママ。(実家に帰るにしては大きな荷物だなぁ)と思いましたが流石にそこまで突っ込んだ話はしませんでした。

ママは慌てた様子で乗ってきたタクシーに再び乗り込み出掛けて行きました。前回と同じように帰宅すると、2人は慣れた感じでソファの前に座りました。しばらくすると学校から帰ってきた息子と再会。とっても嬉しそうに手を取り合って、Aちゃんのためにと買っておいた指輪を渡す姿はまるでプロポーズをしているかのようでした。笑

2日目 学校行事での心温まる一日
この日は息子の学校行事の日でした。校庭には色とりどりの屋台が立ち並び、まるで小さなお祭りのような賑やかな雰囲気に包まれていました。子ども達の目はキラキラと輝き、あちこちから聞こえる笑い声が空に響いています。 私たちは家族みんなでスーパーボールすくいに挑戦したり、ドキドキしながらくじ引きを引いたり、的当てゲームで盛り上がったりして、思い思いに楽しい時間を過ごしました。息子はもちろん、一緒についてきた姉妹も、普段とは違う学校の雰囲気を新鮮に感じているようでした。 しかし、姉妹の様子を見ていると、少し気になることがありました。二人とも、自分から「これやりたい!」「あれ買って!」と言うことはほとんどありません。私が姉妹の視線を察して「あれやってみる?」「これ食べてみる?」と声をかけて初めて、「いいの?」と言った感じで顔を見合わせる姉妹。 本来なら、このような楽しいイベントでは、子ども達が目を輝かせて「あれもこれも!」とはしゃぐものです。でも、この二人は私たち夫婦の様子を伺い、自分の気持ちを抑えているように見えました。まだこんなに小さいのに、こんなにも気を遣って生活しているのかと思うと、胸が締め付けられるような切ない気持ちになりました。 「もっと甘えていいのに」「もっと自分の気持ちを素直に出していいのに」そんな思いが心の中で渦巻きます。とても気が利く子だからこそ、大人の感情を読み取ってしまうのでしょう。自分の欲求を我慢することを覚えてしまったのだと思います。大人の顔色を見ながら生活することが、いつの間にか当たり前になってしまったのかもしれません。

3日目 私たちが知らない事実があるのかも?
この日は近所の公園で思い切り遊びました。お預かりしてから心配していたおねしょもなく、うちでも楽しめている様子だったのですが、水分補給をしながらお姉ちゃんが言いました。「最近パパが仕事にいって帰ってこないの。」「そうなんだ。」私はまた聴く体制に入りました。(もしかしたら別居されているのかも?)と思いましたが私には確認する術もなく、「仕事が忙しいのかなぁ。パパに会えなくて寂しいね。」としか返せませんでした。おそらくパパと会えなくなったことで離婚の危機を感じ取ったお姉ちゃん。そのストレスからおねしょが始まったと推測されます。もしかしたらあの大きなスーツケースもママが離婚を決め、実家へ戻ることにして荷物を運んでいたのかもしれません。

4日目  5歳とは思えない一言
いよいよ明日にはお別れになってしまうので、外食に行くことになり、息子が大好きなくら寿司へ行きました。食べたいものをどんどん選ぶ息子とは対照的に「何にする?どれが好き?」と確認しないと言わずに遠慮してる姉妹。とりあえず2人が「もう大丈夫」というまで食べて店を出ました。夫とお姉ちゃんがレジ前にいて、私と息子と妹ちゃんは出入り口付近のガチャガチャを眺めてました。店を出ながら普段口数の少ない夫が私にこそっと「Aちゃんが『お寿司連れてきてくれてありがとうございます。普段なかなか行けないので嬉しかったです。』って言ってた。」と。「5歳なのにそんなことが言えるの!?」と驚きました。もちろん夫も驚いていました。

5日目 今日がお預かり最終日。
朝から学校に行かないといけない息子は名残惜しそうに姉妹とさよならし、家を出て行きました。私が姉妹の荷物を準備しながら「今日はママに会えるね!嬉しいね。」と話しかけるとうなずきながらニコニコ笑顔の妹ちゃん。お姉ちゃんは「ここに来たこと絶対に忘れないからね!」と力強く言ってくれました。

この日も私の最寄り駅で集合予定でしたが約束の時間になってもママが来ませんでした。スタッフさんが連絡しても電話に出ない。乗ってくるであろう電車の時間は過ぎてしまって、次の電車までしばらく待たないといけないかなぁ。と思っていたらママが走りながらやってきました。(あれ?どの電車で来た?時間的に実家と逆方向の電車?)もしかしたら、初日の急いでいる様子に、実家とは違う方面からの電車。もしかすると、お泊り先は実家ではなかったのかもしれません。

※個人情報保護について 
本記事で紹介するエピソードは、ショートステイ里親制度への理解促進を目的として、実体験に基づいて執筆しています。お預かりしたお子さんとそのご家族のプライバシーを厳重に保護するため、年齢、性別、利用期間、家庭状況、身体的特徴などの個人を特定できる情報は変更しております。また、複数のケースを組み合わせて再構成している場合もあります。個人や家庭が特定されることのないよう十分に配慮した上で、同じような状況にある方々の参考となることを願い、経験を共有させていただいています。

この体験から感じたこと

子どもたちの純粋さと複雑な心境

5歳のAちゃんの「お寿司連れてきてくれてありがとうございます。普段なかなか行けないので嬉しかったです」という言葉は、私たち夫婦にとって大きな驚きでした。5歳という年齢でこれほど丁寧で大人びた感謝の気持ちを表現できることに感動する一方で、この年齢の子どもがここまで気を遣わなければならない環境にいることへの複雑な思いも抱きました。

神社で「パパとママが仲直りするように」と一生懸命に祈る姿や、パパの不在を寂しそうに話す様子を見ていると、子どもたちは大人が思う以上に家庭の状況を敏感に感じ取っていることがよくわかります。おねしょの再発も、きっと家族の変化に対する不安やストレスの現れだったのでしょう。

遠慮がちな子どもたちへの思い

学校行事での姉妹の様子は、特に印象に残っています。本来なら「あれもこれも!」とはしゃぐような楽しいイベントでも、二人は常に私たちの顔色を伺い、自分から欲しいものややりたいことを言うことがありませんでした。こちらから「やってみる?」と声をかけて初めて、「いいの?」という表情で顔を見合わせる姉妹の姿は、胸を締め付けられるものがありました。

まだ小さな子どもたちが、こんなにも周りに気を遣って生活していることの切なさ。「もっと甘えていいのに」「もっと自分の気持ちを素直に出していいのに」と心の中で何度も思いました。きっと今まで、自分の欲求よりも周りの大人の感情を優先することを学んでしまったのでしょう。

ショートステイ里親としての役割と限界

ショートステイ里親として、私たちにできることは限られています。家庭の事情に直接介入することはできませんし、根本的な問題を解決することもできません。ただ、子どもたちの話を聞き、安心できる時間と空間を提供することが私たちの役割です。

お姉ちゃんがパパとママの喧嘩について話してくれた時も、特定の誰かの味方をするのではなく、ただただ彼女の気持ちに寄り添い、話を聞くことに徹しました。そして、私たちの家にいる間だけでも、子どもたちが重い気持ちを忘れて笑顔でいられる時間を作ることを心がけました。

家族の絆を超えた繋がり

血のつながりはなくても、短期間で築かれた家族のような絆には本当に驚かされました。夫の背中に馬乗りして遊ぶ子どもたちの姿は、まるで本当の兄弟のようでした。息子がAちゃんのために指輪を買って、プロポーズのように渡す姿も微笑ましく、子ども同士の純粋な友情の美しさを感じました。

「ここに来たこと絶対に忘れないからね!」というお姉ちゃんの言葉は、短い期間でも子どもたちの心に温かい記憶を残すことができたという証拠だと思います。

まとめ

ショートステイ里親として子どもたちと過ごす時間は、可愛らしい瞬間と切ない瞬間が混在する貴重な体験です。完璧な解決策を提供することはできませんが、子どもたちが「ここは安心できる場所だった」「優しくしてもらった」という記憶を心の片隅に持ち続けてくれることを願っています。

家庭の事情は複雑で、私たちには見えない部分もたくさんあります。それでも、子どもたちの純粋な笑顔や何気ない言葉から教えられることは数多くあります。これからも、一人でも多くの子どもたちが安心して過ごせる時間を提供できるよう、ショートステイ里親としての役割を大切にしていきたいと思います。

そして、いつかAちゃんとHちゃんが、自分の気持ちを素直に表現できる環境で、のびのびと成長していけることを心から願っています

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