こんにちは。月9ドラマ「明日はもっと、いい日になる」をご存知でしょうか?
刑事だった主人公が児相へ出向となり、奮闘するヒューマンドラマです。
児童相談所で働く職員の方々や、子どもたちの実親さんたちは、私たち里親が想像する以上に複雑な事情を抱えていることがあります。特に、子どもと離れて暮らしながらも再び一緒に暮らすために努力している親御さんたちの姿には、心を動かされることが少なくありません。
今日ご紹介するのは、犯罪に巻き込まれながらも子どもたちのために変わろうとした一人の母親の物語です。この物語を通じて、「親になること」「家族を持つこと」の難しさと、それでも諦めずに前に進もうとする人々を支える仕組みの大切さについて、一緒に考えてみたいと思います。
第7話 夢乃がトクリュウに関与?児相の支援の限界 あらすじ
児童相談所職員の夏井は、元同僚の刑事から衝撃的な情報を知らされる。面談を重ねてきた母親・夢乃が、特殊詐欺・連続強盗グループ「トクリュウ」に関与している可能性があるというのだ。子どもたちと暮らすために懸命にプログラムへ取り組む夢乃の姿を見てきた夏井は、彼女が犯罪に手を染めているはずがないと庇う。しかし元同僚に怪しい点はなかったかと問われた時、夏井はあることを思い出す。以前、夢乃は夏井を訴えると激怒していたのに、夏井が元刑事だと知った途端、態度を一変させて訴えを取り下げたのだ。
その頃、夢乃は見知らぬ男性とバーで飲んでいた。会計時に高額請求を受け、男性は「ぼったくりだ」と騒ぎ出す。バーテンダーと口論する男性を置き去りにして、夢乃は一人で店を後にした。夢乃の自宅前には夏井が待っていた。部屋に招き入れられた夏井は、以前より片付いた室内に少し安堵しながらも、夢乃の遅い帰宅時間や仕事について尋ねる。夢乃は「ちょこちょこバイトをしている」と答えるが、夏井は「変なことに巻き込まれていないか」と心配を隠せない。話を切り上げようとする夢乃に、夏井は「子どもたちと過ごせるかどうかの大事な時期」だと伝えるが、夢乃は「わかっているから帰って」と突き放す。夏井は前回の面談で忘れていった子どもたちの絵を手渡し、夢乃の家を後にした。
翌日、夢乃は犯罪グループの一員に呼び出される。「警察が来ていないか」と問われ、夏井の顔が脳裏をよぎるも、夢乃は誰も来ていないと答える。グループから身を隠すよう指示された夢乃は、毎週通っている児相のプログラムについて尋ねるが、「子どもを預かってくれているなら好都合。警察に捕まればもう子どもたちとは暮らせない」と冷たく言われる。
プログラムの予定日、夢乃は夏井に体調不良を理由に欠席を告げる電話をする。違和感を覚えた児相スタッフの判断で、夏井と同僚の蔵田が夢乃の自宅へ急行する。その直前、夢乃の自宅には警察が訪れ、逮捕状を手に捜索を始めていた。入れ違いで到着した夏井は、元同僚から今夜一斉摘発が行われることを聞かされ、これ以上関与しないよう忠告されるが、夏井は夢乃を探しに向かう決意をする。
一方、一時保護所では、一度も誕生日を祝ってもらったことがないという花蓮ちゃんのために、風雅くんが誕生日会を企画する。どりむくんとりずむくんたちも協力し、準備チームと花蓮ちゃんを遊ばせるチームに分かれて秘密裏に準備を進める。浜辺でプレゼントの材料を集めて戻ってきた子どもたちは、保護所に警察が来て母親を探していることを知り、大きなショックを受ける。
ボストンバッグひとつで逃走中の夢乃は、仲睦まじい親子の姿を目にし、かつて子どもたちと過ごした日々を思い出していた。
〜回想シーン〜
公園で遊ぶどりむくんとりずむくん。りずむくんが他の子のおもちゃを取って泣かせてしまったらしく、それを聞いた夢乃はりずむくんに泣かせてしまった子へ謝るよう促したが、りずむくんは拒んだ。その時、「悪いことしたら謝らないと」と夢乃。どりむくんが「逃げちゃダメだよね、弱い人間になっちゃうよね」と言い、兄弟で一緒に謝りに行って解決した
母親の逮捕を心配するどりむくんは、元刑事の夏井に「なんとかして」と訴える。児相の範疇を超えていることはわかっているが、子どもたちのために変わろうとしていた夢乃を信じたいと願う夏井。南野は「熱心な担当者について夢乃さんは恵まれている」と落ち込む夏井を励まし、子どもたちは大人の不安を敏感に感じ取るから強くいるよう助言する。
諦めず何度も電話をかける夏井に、ついに疲れ果てた夢乃が「助けて」と電話に出る。その後児相に来た夢乃は、自らの生い立ちを語り始める。次々と男を作って遊び回る母親、愛想を尽かして出て行った父親、お金のない生活。同じような境遇の人と出会い家族を作ったが、未熟な夫婦はすぐに破綻しシングルマザーとなった。困窮した生活の中で借金が膨れ上がり、犯罪グループに脅されてアプリで知り合った男性をバーに連れて行く仕事を断れなかった。「子どものために頑張っていたのに、気づけば自分の母親と同じような生活になっていた。親ってどうやるの?幸せって?家族って何?」と諦めたように語る夢乃。
夏井は、プログラムを頑張る姿や片付けられた部屋を見てきたこと、その思いがあればもう一度頑張れると伝える。蔵田も自身が虐待を受けて保護され里親に育てられた過去を明かし、「体の傷は消えても心の傷は消えなかった。自分が家庭を持つことを想像した時、同じことをしてしまうのではないかと不安になった。だからあなたの気持ちがわかります。でもあなたは変わろうとしている。現に変わり始めている」と励ます。夏井に促され、夢乃は子どもたちのために全てを話す覚悟を決めて警察へ向かう。
翌日、警察から連絡が入る。夢乃は特殊詐欺には関与しておらず、脅されて男性をバーに連れて行っていただけだったことが判明し、お咎めなしとなった。
一次保護所では花蓮ちゃんの誕生日会が開かれ、子どもたちが浜辺で集めたシーグラスと貝殻で作ったプレゼントが贈られる。生まれて初めての自分の誕生日会に喜ぶ花蓮ちゃんとそれを微笑ましく眺める大人たちの。花蓮ちゃんには里親と生活する話が上がっていた。
子どもたちが抱える「見えない不安」
児童相談所の一時保護所では、今日もたくさんの子どもたちが過ごしています。子ども達は親が迎えにきてくれることを信じながらも「もしも迎えに来なかったら‥」という不安も混在します。
一時保護所や施設は安全な場所ですが、大勢の子どもたちとの集団生活は、繊細な子どもにとってストレスになることもあります。家庭という環境で過ごすことで、子どもは落ち着きを取り戻し、自分を見つめ直す時間を持つことができます。
親も子どもも変わりたいと思っている
夢乃は幼い頃から愛情に恵まれず育ち、やっと手に入れた自分の家族も経済的困窮から崩壊してしまいました。借金に追われ、犯罪グループに脅されながら生活していた彼女は、それでも子どもたちと暮らすために児童相談所のプログラムに懸命に取り組んでいました。
「親ってどうやるの?幸せって?家族って何?」
諦めかけた彼女を支えたのは、真っ直ぐな生き方の夏井の熱い想いと、蔵田の「あなたは変わろうとしている。現に変わり始めています」という言葉でした。
親が抱える問題は複雑で、すぐには解決できません。でも、変わろうとしている親には時間が必要です。そして、その間、子どもたちには「安心できる居場所」が必要なのです。
なぜショートステイ里親が必要なのか
ショートステイ里親の利用は‥
- 子どもの心の安定
- 親が立ち直るための時間
- 親子関係の修復を支える
などのメリットがあります。
子どもたちが求めているのは、特別なことではありません。
- 「おかえり」と迎えてくれる人
- 一緒にご飯を食べてくれる人
- 「頑張ったね」と褒めてくれる人
- そばにいて、話を聞いてくれる人
そんな当たり前の温かさが、子どもたちの傷ついた心を少しずつ癒していきます
まとめ
この物語は、親になることの難しさと、それでも子どものために変わろうとする親の姿、そしてそれを支える児童相談所職員や里親の役割について、深く考えさせられるものでした。
私たちショートステイ里親は、子どもたちを短期間預かる中で、実親さんたちとも関わる機会があります。その中で感じるのは、多くの親御さんたちが、自分なりに子どもを愛し、子どものために何かをしたいと思っているということです。しかし、貧困や孤立、過去の傷など、さまざまな事情がそれを困難にしている現実があります。
夢乃さんのように悩む親御さんは決して少なくありません。そんな親御さんたちを孤立させず、必要な支援につなげていくことが、社会全体の課題だと感じます。
児童相談所の職員の方々、里親、そして地域の人々が連携して、子どもたちと親御さんの両方を支えていく。そんな温かい社会であってほしいと、改めて思います。
そして何より、どんな状況にあっても、子どもたちには安心して過ごせる場所が必要です。私たちショートステイ里親は、そんな「安全基地」としての役割を、これからも大切にしていきたいと思います。
ショートステイ里親について詳しく知りたい方は
- お住まいの地域の児童相談所
- 都道府県の里親支援機関
- 全国里親会のホームページ
などでご確認いただけます。小さな一歩が、大きな変化の始まりになるかもしれません。
福岡市にお住まいの方→福岡市こども総合相談センター えがお館 ☎︎092−833−3000
コメント