ドラマ「明日はもっと、いい日になる」助けを求める子どもたち

ドラマ「明日はもっと、いい日になる」
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現在フジテレビで放送中のドラマ「明日はもっと、いい日になる」をご存知でしょうか。福原遥さんが月9ドラマ初主演を務めるこの作品は、児童相談所で働く職員たちの奮闘を描いたヒューマンドラマです。

現在、日本では約4万5千人の子どもたちが何らかの理由で家族と離れて暮らしています。虐待、ネグレクト、保護者の病気や経済的困窮…理由は様々ですが、すべての子どもに共通するのは「安心できる場所」を必要としていることです。

そんな子どもたちを支える仕組みの一つが「ショートステイ里親」です。長期間の養育ではなく、数日から数週間という短期間、子どもたちに家庭的な環境を提供する制度。今回は、この制度の意義と可能性について、第2話の物語を通じて感じたことを交えながらお話しします。

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第2話「万引きをした少年と、無賃乗車する少女の謎」あらすじ

※ここから先は、ドラマ「明日はもっと、いい日になる」のストーリーに触れています。ネタバレを避けたい方はご注意ください

万引きをした少年との出会い

児童相談所で働く主人公は、施設の子どもたちと近所のお祭りに行く約束をしていた。しかし、万引きの通報を受けて現場に急行することになる。そこで待っていたのは、以前街で見かけたことのある男の子だった。肌が黒ずみ、服はボロボロ、髪はボサボサの状態で、水とクリームパン、そして小さなおもちゃを必死に握り締めて離そうとしない。

施設に連れて行き、汚れた服を着替えさせようとしたとき、男の子は深い眠りに落ちた。きっと長い間まともに眠れていなかったのだろう。一言も話さず、名前すらわからない男の子だったが、握りしめていた小さなおもちゃに「りずむ」という文字が書かれているのを発見する。痩せ細った体を見て、職員たちはネグレクト(育児放棄)を疑った。

祭りでの出来事と真実の発覚

りずむくんの情報収集に手間取る中、施設の子どもたちとの約束の時間が迫る。目を覚ました男の子が「僕もお祭りに行きたい」と初めて口を開いたため、一緒に祭りに向かうことにした。

祭りの会場では、他の子どもたちが楽しそうに遊ぶ様子をただ眺めているだけで、誘われても一緒に遊ぼうとしない男の子。しかし突然、主人公の手を振り払って走り出し、道路に飛び出してしまう。主人公が間一髪で助けたその時、先輩から電話が入る。男の子の名前は「どりむ」で、「りずむ」は3歳の弟だと知らされた。弟もネグレクトの可能性があり、連日の猛暑の中で命に関わる危険な状態かもしれないという。

それまで沈黙を保っていたどりむくんが、涙ながらに「助けて。りずむが死んじゃう…」と訴える。万引きは弟を助けるための必死の行動だったのだ。

緊急保護への道のり

児童相談所では、立ち入り調査の許可を得るため先輩たちが所長と交渉する。所長は段階的な家庭訪問を主張するが、先輩がりずむくんの生命の危険を熱く訴え、緊急の対応が決定される。

どりむくんと主人公が家に向かうが、どりむくんは「ママにおうち教えるなって言われてる」と躊躇する。主人公が一人で向かうと伝えたところで先輩たちが到着し、安全のため防刃チョッキを渡される。

母親との対峙と救出

インターホンを押すと、母親がキレ気味に応答する。児童相談所の職員だとわかると、今から外出するとドアを閉めようとするが、主人公がドアの隙間に足を入れてりずむくんとの面会を求める。母親は「うちにはいません」と拒否するが、見かねた蔵田先輩が家の中に踏み込み、熱中症で危険な状態のりずむくんを発見。即座に救急車を要請した。

家の外で暴れパニックを起こす母親を見て、どりむくんは泣き出す。母親から「何やってんの!家のこと言うなって言ったのに!」と怒鳴られ、「ごめんなさい、ごめんなさい」と謝り続ける姿は痛ましかった。

母親の実態と逮捕

警察での聴取で、母親は3日ぶりの帰宅だったことが判明する。「ご飯は準備してあった」と主張するが、実際は500mlの飲み物2本とおにぎり4つだけだった。全く反省の色を見せず「私、犯罪でもしました?」と開き直る母親に、「保護責任者遺棄罪という立派な犯罪に該当します」と告知すると、「勝手にどりむが万引きして、児相が不法侵入して誘拐した。あっちが犯罪者でしょう?」と逆ギレする始末だった。

どりむくんの苦悩と主人公の葛藤

施設でのどりむくんは「ママに会えなくなったのはお姉ちゃんのせい!ママを返せ!」と主人公を責める。ひどい目に遭ってもなお母親を慕うどりむくんを見て、主人公は親子を引き離すことの是非に疑問を抱く。

先輩は「児相が一度入ったくらいで改心する親なら、最初からネグレクトはしない。調査と改善を試みるが、引き離すことが最善の場合もある」と諭す。主人公の「あんなにお母さんが好きなのに」という言葉に、「血のつながりだけが家族じゃない」と返答する。

保育士との植物の植え替え作業中、「植物も水、日光、養分など様々な要素が必要。植物は動けないから、こちらが原因を見つけて対応してあげなければならない」という言葉から、主人公は子どもの本心を汲み取ることの重要性を改めて感じる。

ののかちゃんの無賃乗車問題

一方、以前から問題となっていた小学生ののかちゃんの無賃乗車について、再び通報が入る。心理士によるバウムテストの結果、自己犠牲的な傾向があることが判明した。

父親からの聞き取りで、週6日塾に通っており、無賃乗車は全て塾のない木曜日に発生していることがわかる。職員たちで理由を議論するが答えは見つからず、主人公は尾行を提案する。

蔵田先輩から「容疑者ではないのだから何もするな」と止められるが、主人公は先輩の目を盗んでののかちゃんを尾行する。

ののかちゃんの真実

放課後、ののかちゃんがショッピングモールに向かうのを追跡中、尾行に気づかれてしまう。主人公が名刺を渡そうとしたとき、近くで誰かが大声で怒鳴る声が聞こえ、ののかちゃんは怯えた様子で苦しそうにする。

蔵田先輩にこの様子を報告すると、「面前DV」(子どもの前での家庭内暴力)の可能性を指摘される。両親への聞き取りでは「子どもの前で言い争わないよう気をつける」と答えるが、その後児童相談所からの電話に出なくなる。

緊急事態とののかちゃんからのSOS

ある日、児童相談所に無言電話がかかってくる。荒い息遣いから主人公はののかちゃんだと直感する。急行すると、家では両親が激しく言い争い、ののかちゃんは過呼吸を起こしていた。

「よく電話してくれたね。えらいよ」と主人公が声をかけると、両親は「ちょっと言い合いになっただけ」「大したことない」と軽視する。主人公は「大好きな両親が争うところを見る子どもの気持ちを考えて」「虐待で最も治りにくいのは心の傷。それが原因で自傷行為に至り、取り返しのつかないことも」と説明する。

ののかちゃんの想いと解決への道

ののかちゃんは「ママとパパは悪くない。怒らないで」と両親を庇う。両親の言い争いは主にののかちゃんの将来について。自分を思ってのケンカだとわかっているからこそ、誰にも相談できずにいたのだ。

ショッピングモールには無賃乗車してまでピアノを弾きに行っていたことが判明する。本当はピアノの発表会に出たかったが、お金がかかることや受験を控えていることで両親に言い出せずにいた。

「1曲だけでいいから聞いてほしい」というののかちゃんの願いを受け、主人公はショッピングモールで両親にピアノ演奏を聞いてもらうことを提案する。

家族の絆の回復

ののかちゃんが演奏したのは両親の思い出の曲、結婚式でも流した特別な楽曲だった。「この曲を聴いたら、また二人が仲良くなるかな。ケンカしないかな」という純粋な想いからの選曲だった。

「ママとパパが仲良かったから私がいると思うと嬉しくて」「もうケンカしないでほしい。お願い」主人公の後押しでやっと本心を伝えることができたののかちゃんを、両親は「ごめんね」と抱きしめる。

父親は「これからは第三者を入れて話し合う」と約束するが、蔵田先輩は「大切なのは口論しないことではなく、口論の仕方。一緒に模索していきましょう」とアドバイスする。

希望と新たな試練

後日、ののかちゃんからピアノの発表会に出演したという報告と、幸せそうな家族写真が送られてくる。一時保護所は明るい雰囲気に包まれるが、突然怒った女性が主人公を訪ねてきて、平穏な時間に暗雲が立ち込める。

この第2話では、ネグレクトという深刻な問題と、家庭内での心理的虐待という現代的な課題を通じて、児童福祉の現場の複雑さと、子どもたちの純粋な想いが描かれている。血のつながりだけでは解決できない問題と、真の家族愛とは何かを問いかける重層的な物語となっている。

子どもたちの秘めた想い

第2話で取り上げられたどりむくんとののかちゃん。二人とも親によって厳しい環境に置かれていましたが、親を愛するが故に真実を話せませんでした。
児相で真摯に子どもと向き合い働く主人公を見て、やっとSOSを出せた子どもたち。ショートステイ里親の現場でも、信頼できる大人に出会うことで子どもが苦しい胸の内を話してくれることもあります。
子どもたちが自分の気持ちを素直に話せる安心できる場所を提供することは、ショートステイ里親でお子さんを預かるときに私が気をつけていることの一つです。

子どもの気持ちを受け止める

信頼してくれ里親にSOSを出してくれた子どもとどう向き合うか。

ドラマの中でもあったように、まずは「何を話してもいいし、何も話さなくてもいい。」お預かり中のお子さんの気持ち無理に話を引き出すようなことはしません。
一番は楽しく安心して生活できるようにすること、その上で気持ちを話してくれたときには話してくれたことに感謝し、子どもの気持ちを受け止めます。辛さや苦しさに共感しつつただ話を聴くことに努める場合もありますし、里親や職員と一緒に親に話してみるのか、内緒にするのか、これからどうしたいのかなどを聞くこともあります。親に伝えたくないことでも、犯罪など緊急の場合は児相やショートステイ里親の職員に共有することがあります。

緊急時の避難場所

何かがあったときに頼れる人、支えてくれる人がいることは、子どもたちだけでなく親にとってもとても安心できるのではないでしょうか。子どもが親には話せない気持ちを吐き出せる場所、親には隠している気持ちにも気付けるように努めています。

まとめ

どりむくんとののかちゃんの物語は、子どもたちが置かれている複雑な状況と、彼らが持つ親への愛情を教えてくれました。

ショートステイは短期間であっても、子どもたちに安心できる環境を提供することで、その後の人生に大きな影響を与える可能性があります。

ショートステイ里親が子どもたちにもたらすもの

  • 緊急時の安全な避難場所
  • 家庭的な温かさと安心感
  • 大人への信頼感の回復
  • 「自分は大切にされている」という実感

私たちにできること

  • ショートステイ里親制度への理解と関心
  • 地域の児童相談所での情報収集
  • 実際の登録と研修への参加
  • 周囲への制度の紹介と啓発

子どもたちは、どんな環境にいても愛情を求め、誰かの役に立ちたいと願っています。どりむくんが弟を守ろうとしたように、ののかちゃんが両親の仲を取り持とうとしたように。

私たち大人にできるのは、そんな子どもたちの純粋な気持ちに応え、安心して成長できる環境を提供することです。ショートステイ里親は、その一つの形なのかもしれません。

「植物も水、日光、養分など様々な要素が必要。植物は動けないから、こちらが原因を見つけて対応してあげなければならない」
ドラマの中の言葉のように、子どもたちの安らかな成長に必要な1つの要素を届けること。それは特別なことではなく、日常の中にある温かさや優しさなのではないでしょうか。
一人でも多くの方がショートステイ里親について知り、関心を持っていただけることを願っています。そして、すべての子どもたちが安心して笑顔でいられる社会の実現に向けて、できることから始めていきませんか。

ショートステイ里親について詳しく知りたい方は

  • お住まいの地域の児童相談所
  • 都道府県の里親支援機関
  • 全国里親会のホームページ

などでご確認いただけます。小さな一歩が、大きな変化の始まりになるかもしれません。

福岡市にお住まいの方→福岡市こども総合相談センター えがお館 ☎︎092−833−3000

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