ドラマ「明日はもっと、いい日になる」”家族のために”が苦しくなる前に

ドラマ「明日はもっと、いい日になる」
スポンサーリンク

「家族のために頑張らなきゃ」

そう思いながら、毎日を過ごしている方は多いのではないでしょうか。特に、障害や病気のあるお子さんを育てている保護者の方、そのきょうだいを育てている方は、自分のことを後回しにして家族のために尽くしているかもしれません。

でも、その優しさや責任感が、知らず知らずのうちに家族全員を追い詰めてしまうことがあります。

今回は、月9ドラマ「あしたはもっと、いい日になる」の第9話より、ある家族のエピソードを通して、「頑張りすぎ」がもたらす危険性と、疲れた時におすすめの子育て支援ショートステイ里親制度を使っての休息の大切さについてお話しします。実は、一時的に休むことで、家族の関係がより良くなることもあるのです。

本文中広告

第9話 新たな命と、きょうだい児の想い あらすじ

※ここから先は、ドラマ「明日はもっと、いい日になる」のストーリーに触れています。ネタバレを避けたい方はご注意ください

保護を求めた少女

中学生の橘しゅうかちゃんが児童相談所にやってきた。「私を保護してください」その言葉に、児童福祉司の夏井と先輩の蔵田は事情を聴くことにした。しゅうかちゃんは日常的に暴力を受けていると訴えるが、体に傷は見当たらない。児相に呼び出された両親は虐待の疑いに困惑し、「あの子を叱ることなんてほとんどない」と納得のいかない様子だった。

心理士による検査でも虐待を示す反応はなく、体にもあざなどの痕跡は発見されなかった。しゅうかちゃんの説明はあやふやで、虐待の可能性は低い。もしかしたら嘘をついているのかもしれない。そう判断した夏井たちは、改めて聞き取りを行うことにした。しかし夏井は直感していた。嘘でも本当でも、これは何かしらのSOSなのだと。

きょうだい児という存在

世間話から始めた面談。両親の話題になると、それまで無反応だったしゅうかちゃんが両親のことを聞いてきた。彼女は家族が何時まで児相にいるのかを確認した。病院があるからと母親すぐに帰ったことを伝えると、しゅうかちゃんはまた何も話さなくなってしまった。

面談を見ていた心理士によると、しゅうかちゃんは長男長女に多い、我慢したり自分を押し殺してしまう傾向があるという。しかし、しゅうかちゃんは次女だ。「そういう違和感こそが、彼女が抱える痛みのヒントになるのでは」と蔵田は言った。

しゅうかちゃんの姉に会うため、夏井と蔵田は姉の通う病院を訪ねた。長女のすみれちゃんは二分脊椎症という病気で歩行に問題があり、週に4回リハビリに通っている。つまり、しゅうかちゃんは病気や障害を持つ兄弟姉妹がいる「きょうだい児」だったのだ。きょうだい児は自分の気持ちを我慢しがちで、心理士の診断結果とも合致していた。

姉妹の仲は良いとすみれちゃんは言う。しかし、普段の会話の内容は学校のことやリハビリのことばかりらしく、しゅうかちゃん自身についての話題になると「まあ、普通に」と詳しく話そうとしなかった。

〜回想シーン〜
学校の友達数人が遊びに行く約束をしていたが、しゅうかちゃんはすみれちゃんのリハビリに付き添うため参加できなかった。しゅうかちゃんは愚痴のつもりですみれちゃんにそのことを話したが、すみれちゃんはリハビリに付き添わせて申し訳ないと感じ、「もうちょっと待っててね。絶対歩けるようになるから」としゅうかちゃんに誓った。しゅうかちゃんは「もう限界だよ」とすみれちゃんがリハビリを頑張りすぎだと案じていたのだが、すみれちゃんはしゅうかちゃんが限界を感じていると誤解してしまう。

「大丈夫?」ぼんやりしているすみれちゃんに夏井が尋ねると、すみれちゃんは「すいません、リハビリで疲れてるんで」と帰ってしまった。

新しい命と親になること

一時保護所では、しゅうかちゃんは子どもたちに慕われ、絵本を読んであげていた。年齢の割にしっかりしすぎていると感じた保育士たち。課長兼保育士の南野は新人保育士の栗原に、「家族の絆はすごく強いが、同時に脆くもある。僕らが相談できる人にならなきゃね」と話した。

栗原は彼氏と同棲していて、妊娠したことがわかったばかりだった。悩んでいる様子の栗原に、児童福祉司の野良が声をかける。「どうしたらみんなが立派な親になれるのか」と問う栗原に、野良は答えた。「虐待や育児放棄は特別な誰かだけがすることじゃなく、誰だって『気づいたら』ってことがあるのよ」。野良は昔、自分も子育てに疲れて家を出て行こうとしたことがあると打ち明けた。「たったドア1枚。それが虐待をする親と普通だと思われている親の差。自分だけは大丈夫なんてことはない」。その言葉を聞いた栗原は、何か覚悟を決めたような晴れやかな笑顔を見せた。

そして立ち上がった途端、栗原はお腹を抑えてしゃがみ込んだ。驚く野良と、通りかかった夏井と蔵田が心配し、栗原をベッドへ運んだ。

妊娠したことをまだ誰にも言っていなかったと打ち明ける栗原。子どもが大好きで保育士になったが、児相で出会う様々な事情を抱えた家族を見ていると、自分がちゃんとした親になれるのか自信がなかったと言う。

そんな栗原に野良が問いかける。「親ってどうやってなると思う?」。難しい質問に悩む職員たち。「子どもがいなくても親になれるし、子どもがいるからって親じゃない人もいるし……」と南野。「出産したら!」と言う夏井の答えは不正解。正解は「子どもの成長とともに親になる」だった。

「たくさん勉強してどれだけ準備しても、子どもは思い通りにならない。その度に試行錯誤して挑戦して、少しずつ成長していくもの」と野良。「自信がないって言うのはむしろ正解で、ちゃんと向き合っている証拠」と南野。「だから自信がない自分に自信を持ちなさい!」。その言葉が栗原を勇気づけた。

姉を助けたい妹の想い

翌日、すみれちゃんとの面会を終えた夏井と蔵田は結果を報告した。しゅうかちゃんはきょうだい児であるため、自制や我慢をして姉中心の生活を送っていた。「保護して」と言ったのは、姉だけじゃなく私も見てほしいというサインだった。そして姉のすみれちゃんはしゅうかちゃんのことを心配している様子がなく、しゅうかちゃんには姉から両親を奪ってやろうという気持ちがある可能性もあり、事態はより深刻であると判断された。

その後の面談でも本心を話さないしゅうかちゃん。夏井は根気強く話しかけ、ここでは我慢しないでいいこと、どんな気持ちがあっても受け止めることを伝えた。そこでようやく、しゅうかちゃんは本当の気持ちを口にした。「お姉ちゃんを助けて」。

両親の期待に応えるため、頑張って一人で歩いてみたいとリハビリに励むすみれちゃん。しかし、なかなか進展しない状況に、このまま歩けないかもしれないという不安も抱えていた。しゅうかちゃんは、必死にリハビリをして家族を笑顔にしようとするすみれちゃんの姿に限界を感じ取っていたのだ。

家族それぞれの想い

今までの経緯を、両親よりも先にすみれちゃんに話す夏井と蔵田。しゅうかちゃんはすみれちゃんの心を守りたくて嘘をついた。両親と話す前に、すみれちゃんの気持ちを確認したいと伝えた。

すみれちゃんの希望で、ようやく家族で話せる機会が訪れた。過度なリハビリですみれちゃんが限界を迎えていると感じたしゅうかちゃん。虐待されたと言えば、リハビリどころじゃなくなると思い、嘘をついたのだった。

一方、すみれちゃんはしゅうかちゃんの方がたくさん我慢していて限界だと思っていた。小さい頃から姉のために我慢してきたしゅうかちゃん。それを知っているからこそ、すみれちゃんは歩きたいと思っていた。そして「満足な体に産んであげられなくてごめんね」と何度も謝る母親を助けたいとも思っていたのだ。

すみれちゃんは母親に伝えた。「歩けない私も私。歩けなくても常に誰かといられて、悪いことばかりじゃない。もう自分を責めないでほしい。私は、今の自分も大好きだから」。その言葉に、母親の目からは涙が溢れた。

リハビリはこれからも続けたい。ただし、自分の体のことは自分で知っておくためにも、リハビリの相談は自分も一緒にやってほしい。すみれちゃんの気持ちを聞いて、しゅうかちゃんも自分の気持ちを吐き出すことができた。「ずるいよ、お姉ちゃんばっかりずるい」。

新しい家族の誕生

彼氏に妊娠の報告をする栗原。彼氏はとても喜んでくれた。児相の所長らにも報告すると、その知らせを聞いたみんなが喜びに溢れた。

新しい命の誕生と、家族それぞれの想いが解き明かされていく。児童相談所で働く人々が見つめるのは、家族の絆の強さと脆さ、そして成長していく勇気だった。

限界を超える前に気づいてほしいこと

「虐待されています」──嘘をついた中学生の真実

中学生のしゅうかちゃんが児童相談所に「私を保護してください」と訴えました。日常的に暴力を受けているという彼女。しかし調べてみても、体に傷はなく、虐待の痕跡は見つかりませんでした。

児童福祉司が根気強く話を聞いていくと、彼女は虐待されていたわけではなく、ある理由から嘘をついていたことが分かりました。

しゅうかちゃんの姉・すみれちゃんは二分脊椎症という病気で歩行が困難で、週4回リハビリに通っていました。両親の期待に応えたいと必死に頑張るすみれちゃんでしたが、なかなか成果が出ず、「このまま歩けないかもしれない」という不安を抱えていました。

妹のしゅうかちゃんは、そんな姉の限界を敏感に感じ取っていたのです。

「お姉ちゃんを助けてほしい。虐待されたと言えば、リハビリどころじゃなくなって、お姉ちゃんが休めると思った」

これが、しゅうかちゃんが嘘をついた理由でした。

誰もが「相手のために」頑張りすぎていた

この家族は、みんなが誰かのために頑張りすぎていました。

すみれちゃん(姉)

私のために時間を使ってくれている家族に申し訳ない、満足な体に産んであげられなくて自分を責めイェイる母親を助けたいと思っていた。

しゅうかちゃん(妹)

小さい頃からずっと姉のために我慢してきた。でもそれはお姉ちゃんのことが大好きだから苦痛ではなかった。本当に歩けるようになるかわからないのに、必死にリハビリを頑張る姉を見ているのが辛い。

お母さん

満足な体に産んであげられず申し訳ない。リハビリの付き添いは大変だが、なんとかして娘を歩けるようにしてあげたい。

それぞれが相手を想う優しさから、自分を追い込んでいたのです。

「きょうだい児」という見えない我慢

しゅうかちゃんのように、病気や障害のある兄弟姉妹がいる子どもを「きょうだい児」と呼びます。

きょうだい児は、年齢以上にしっかりしていて、自分の気持ちを我慢する傾向があります。「お兄ちゃん(お姉ちゃん・弟・妹)が大変だから、私は我慢しなきゃ」と、自然に思ってしまうのです。

保護者の方も、どうしても手のかかる子に時間を取られ、きょうだいに「ごめんね」と思いながら過ごしていることが多いのではないでしょうか。

この「申し訳ない」という気持ちが、実は家族全員を苦しめる原因になってしまうことがあります。

頑張りすぎのサインを見逃さないで

この家族のように、「相手のため」と頑張りすぎて限界を迎える前に、こんなサインが出ていないか確認してみてください。

お子さんのサイン

  • 年齢の割に「いい子すぎる」
  • 自分の要望を言わない
  • 親の顔色を伺うようになった
  • 急に反抗的になった、または引きこもりがちになった

保護者のサイン

  • 常に疲れている、休んだ気がしない
  • 子どもが可愛いはずなのにイライラする
  • 「このままでは虐待してしまうかも」と不安になる
  • 「家を出たい」「消えてしまいたい」と思ったことがある

ドラマの中で児童福祉司の方も言っていました。

「虐待や育児放棄は特別な誰かだけがすることじゃない。誰だって『気づいたら』ということがある。たったドア1枚が、虐待をする親と普通だと思われている親の差」

完璧な親なんていません。誰もが限界を迎える可能性があるのです。

本音を話せる場所の大切さ

しゅうかちゃん一家は、児童相談所の職員という第三者の支援により、ようやく家族で本音を語り合うことができました。

すみれちゃんは母親に伝えました。 「歩けない私も私。歩けなくても常に誰かといられて、悪いことばかりじゃない。もう自分を責めないでほしい。私は今の自分も大好きだから」

母親の目から涙が溢れました。

しゅうかちゃんも、ずっと押し殺してきた気持ちを吐き出しました。 「ずるいよ、お姉ちゃんばっかりずるい」

誰も悪くない。でも、頑張りすぎて、誰もが苦しかった。

家族だけで抱え込まず、第三者の視点や支援を得ることで、新しい関係性が見えてくることもあるのです。

ショートステイ──家族のための休息

「でも、うちは虐待をしているわけじゃないし、児童相談所に相談するほどじゃない」

そう思う方もいるかもしれません。

そんなときこそ、ショートステイを活用してください。

ショートステイとは
保護者の方が病気、出産、育児疲れ、家族の介護などで、一時的にお子さんの養育が難しいときに、数日間お子さんを里親家庭や施設でお預かりする制度です。

こんなときに利用できます

  • 保護者の方の心身の休息が必要なとき
  • 病気や出産で入院するとき
  • きょうだいの通院や行事に集中したいとき
  • 介護や看護で手が離せないとき
  • 冠婚葬祭などの急な用事があるとき
  • 「もう限界」と感じたとき

「理由がないと預けられない」と感じる方もいますが、「疲れた」「休みたい」それだけで十分な理由なのです。

しゅうかちゃんのケースのように、一時的に離れることで、お子さん自身も家族との関係を見つめ直す時間が持てます。保護者の方は心身をリフレッシュでき、お子さんは新しい環境で様々な経験ができる──それがショートステイの良さです。

休息の後に見えるもの

しゅうかちゃん一家は、一時保護という形で距離を取る時間を持ちました。その結果、

  • すみれちゃんは、リハビリの相談に自分も参加し、自分のペースを大切にすることにした
  • しゅうかちゃんは、自分の気持ちを表現できるようになった
  • お母さんは、自分を責めることをやめる決意をした
  • 家族全員が「頑張りすぎなくていい」と気づいた

一時的に距離を取ることで、かえって家族の絆が深まることもあるのです。

休むことは逃げることではありません。休むことで、また頑張れる。休むことで、家族の笑顔を守れる。そう考えてみてください。

まとめ

物語の中で、妊娠したばかりの保育士が「ちゃんとした親になれるか」と不安を口にする場面がありました。そんな彼女に、先輩はこう伝えました。

「親は子どもの成長とともに成長する。どれだけ準備しても子どもは思い通りにならない。その度に試行錯誤して、少しずつ成長していくもの」

「自信がないというのはむしろ正解で、ちゃんと向き合っている証拠。だから自信がない自分に自信を持ちなさい

完璧な親なんていません。完璧な家族もありません。だからこそ、一人で抱え込まず、頼れる人や制度に頼ることが大切なのです。

ショートステイ里親として私たちができること

私たちショートステイ里親は、頑張っている保護者の皆さんの「心の休息所」でありたいと思っています。

お子さんを安心して預けられる場所。罪悪感なく利用できる第二の家。そして、「また頑張ろう」と思える休息の時間を提供したいのです。

数日間お子さんをお預かりする間、保護者の方はゆっくり休んでください。好きなことをしてください。一人の時間を楽しんでください。そして心が軽くなったら、笑顔でお子さんを迎えに来てください。

お子さんは私たちとの時間で新しい経験をし、保護者の方は心の余裕を取り戻す。そして家族が新しいスタートを切る──それがショートステイの本当の意味だと思っています。


もし今、「もう限界かも」と感じているなら

それは休息が必要なサインです。お住まいの地域の児童相談所や市区町村の子育て支援課に、ぜひご相談ください。

ショートステイは、決して特別な制度ではありません。頑張っているすべての保護者の方が利用できる、家族のための大切な選択肢です。

頑張りすぎて壊れてしまう前に、どうか休んでください。私たちショートステイ里親は、いつでも皆さんとお子さんをお待ちしています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました