「子育てって、こんなに大変だったんだ…」そう感じている福岡市の保護者の皆さん、あなたは決してひとりではありません。夜泣きが続く日々、イヤイヤ期の対応、仕事と育児の両立で心身ともに疲れ果ててしまうことは、多くの親が経験する自然なことです。
でも、「もう限界かも」と感じたとき、どこに助けを求めればいいのか分からない方も多いのではないでしょうか。実は福岡市には、そんな保護者を支える素晴らしい制度があります。それが「ショートステイ里親制度」です。
この制度を知らずに一人で抱え込んでいる方、制度の存在は知っているけれど「うちは大丈夫」と思っている方、利用を迷っている方へ。今回は福岡市のショートステイ里親制度について、利用方法から実際の体験談まで、知っておきたい情報をすべてお伝えします。
ショートステイ里親とは?5分でわかる基本概念
ショートステイ里親制度は、保護者が一時的に子どもの養育が困難になった場合に、研修を受けた認定里親が自宅で当面子どもを預かるサービスです。
- 制度の目的:子育て家庭のレスパイト(休息)と子どもの安全確保

子育て家庭の育児疲れ解消のため、休息をとってもらうのはもちろんですが、休息を取ってもらうことで心と体の余裕を持てるようにし、子どもへの虐待を防ぐ目的もあります。
- 法的根拠:児童福祉法に基づく子育て支援事業

子育て短期支援事業に短期入所生活援助(ショートステイ)事業が含まれています。
- 安心のためのメリット:家庭的な環境で安心感

ショートステイ里親は自宅でお子さんを預かり育児をします。施設とは違って、家族の中に子どもがいる状態です。
- 保護者にとってのメリット:必要な時に安心して子どもを預けられる支援システム

実習を含む研修、家庭訪問、面談などを修了し、審議に合格した里親がお子さんを預かります。養育里親の資格を取得した後も、里親同士で情報交換したり、勉強会に参加したりしています。
福岡市の制度特色と他の都市との違い
福岡市のショートステイ里親制度は、利用のしやすさと充実したサポート体制に特徴があります。
- 福岡市の里親登録数と実績
2024年度 里親登録数 85名
2024年(1月〜12月) 利用世帯 101世帯
子ども実数 136人
のべ日数 2,076日 - 他都市と比較した福岡市の特徴:年間利用可能日数の違い

他都市では基本的に年間30日〜60程度を目安としているケースが多いですが、福岡市は利用者の精神的、身体的状況に応じて、ケアマネージャーの判断で日数を延長し対応しています。
- 福岡市独自の支援内容:里親サロンや交流会の実施

福岡市のショートステイ里親登録人数が増えてきたので、2025年度から福岡市全体だけでなく、区ごとの里親交流会も始まります。
- 里親と子どものマッチング方法の工夫

専門のコーディネーターが里親と子どもの相性を心理的側面も含めた総合的に判断しマッチングします。うちは息子が一人いるので、「乗り物好きな男の子なので息子くんと気が合うと思います」とコーディネーターさんに言われてショートステイの依頼を受けることが多いです。
- 里親へのサポート体制と研修制基礎研修
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- スキルアップ研修(登録後の定期的な能力向上)
- フォローアップ研修(実際の養育経験を踏まえた振り返り)里親へのサポート体制と研修制

気になることがあったら電話やLINEでスタッフに相談したりしています。研修も見になることが多く、研修会で他の里親さんとお会いして情報交換などもできるので、できるだけ参加するようにしています。
いつか使える!具体的な利用シーン別ガイド
様々な状況に応じてショートステイ里親を活用できる具体例を紹介します。
- 仕事の緊急対応:出張や残業が重なったとき
- 体調不良の時:親の入院や病気治療が必要なとき
- 家族の介護が必要になったとき
- 育児疲れやストレスからのリフレッシュ時間の確保
- 兄弟の学校行事や病院への付き添いが必要なとき
- 冠婚葬祭で遠方に行く必要がある場合
- ひとり親家庭の働き方改革サポートとして
- 災害時や緊急事態における一時的な避難先として
申請方法
スムーズに利用するための申請手続きと必要な準備を解説します。
①まずは利用したい日にちを決めましょう。
最短1泊から最長1週間までの間で、できれば希望の日時まで1ヶ月くら い余裕を持って申請してください。余裕があればあるほど希望の日程が通りやすくなります。
②区役所の子育て支援課の家庭児童相談室へ連絡します。
各区の家庭児童相談室へ連絡し希望日時を伝えます。
③窓口でショートステイの申請書と受け入れ表を提出します。
申請書は住所、氏名、電話番号などを記入します。受け入れ表は、子どもについての情報を記入します。免許証などは必要なし。30分くらいで修了。

受け入れ表子どもの健康状態、好きな食べ物、生活習慣、睡眠、排泄などについて記入します。受け入れ表は詳しく記入してもらえればお子さんについて知ることができ、里親はとても助かります。
- 区別の相談一覧窓口
東区 092-645-1072
博多区 092-419-1084
中央区 092-718-1104
南区 092-559-5124
城南区 092-833-4104
早良区 092-833-4357
西区 092-895-7069
※ただし、土曜日、日曜日など緊急を要する場合は、直接施設へ
施設名 | 電話番号 | |
児童養護施設 | 和白青松園 | 092-606-2109 |
福岡育児院 | 092-621-2241 | |
福岡子供の家 | 092-803-1217 | |
乳児院 | 福岡乳児院 | 092-573-7025 |
みずほ乳児院 | 092-871-6172 | |
福岡市児童家庭支援センター | SOS子どもの村 | 092-805-6800 |
費用
利用料金の仕組みと負担軽減制度について詳しく解説します。
- 基本料金体系:
生活保護受給世帯 無料
市民税非課税世帯 無料
ひとり親世帯 無料
その他世帯 2歳未満 5,350円
2歳以上 2,750円 - 食費や日用品費
食費や日用品費も里親の委託費の中から支払われるため、ショートステイ利用者が支払う必要はありません。 - 医療や特別なケアが必要な場合
直ちにショートステイを中断し、お子さんは帰宅します。
年齢別・預ける際の準備と注意点
お子様の年齢や発達段階に応じた子どもを預ける際のポイントを解説します。
- 乳児期(0〜1歳):授乳や離乳食、スキンケアの引き継ぎ

乳児さんはまだ人見知りもなく、里親家庭にも馴染みやすいですが、食事に関してはとても気を使うポイントです。同じ月齢でも家庭によってミルクの回数や量、離乳食の進み具合は大きく違うので、毎回保護者さんとお会いする時に必ず確認するようにしています。
普段、入浴後に保湿剤を使用しているというお子さんが多いので、保湿剤を使用する場合はいつも使っているものをお預かり初日に持ってきてもらうようにしています。
使ってほしい洗濯洗剤やボディソープなどを一緒に持ってきてくださる方もいらっしゃいます。
- 幼児期(2〜5歳):分離不安への対応と安心させる工夫

話ができるお子さんには、ショートステイでよそのうちに泊まる理由などを説明をしておくことが大切だと感じています。
「⚪︎回ねんねしたら帰れるからね」「ママのお仕事で離れて暮らすけど、⚪︎日経ったら迎えに来るからね。」など子どもに合わせたわかりやすい言葉で大丈夫です。
保護者から何も知らされず里親に預けられた子は、いきなり知らないうちで知らない人と暮らすことになり、ストレスを感じ、いつまで里親宅にいるのか、なぜここに預けられたのか不安を抱えてしまいます。保護者にショートステイの説明をされてからうちへきたお子さんの方がステイ中に不安になって泣くことも少なく、精神も安定しているように感じます。
- 特別なニーズを持つ子どもの場合の準備と連絡事項

神経発達症のお子さんや、以前のショートステイで何らかのトラブルがあったお子さんはその情報が里親へ共有されます。
以前あったトラブルや対処法を共有することでトラブルを未然に防いだり、トラブルがあっても慌てず対処することができます。
我が家では前回のショートステイ先で性器いじりがあったというお子さんがきたことがありました。その時も対応策をスタッフに教えてもらったり自分で検索していろんな対策を考えていました。言われたようにお預かりしているお子さんが退屈しないように、不安や寂しさを感じないよう気をつけて楽しい雰囲気になるように接していました。そうすることでうちにいる間、そのお子さんの性器いじりはありませんでした。
持ち物リスト
・着替え(できれば多めに)
・上着(急な天候の変化で寒い日もあるため)
・肌着
・パンツ(オムツ)
・靴下
・パジャマ
・歯ブラシ
・ミルク、哺乳瓶(乳児の場合)
・保湿剤(保湿が必要な場合)
・もしもあれば飲み薬
・おくるみ、お気に入りの毛布、タオル(※これらがないと眠れない場合)
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緊張してトイレに行きたいと里親に伝えられなかったり、普段と違う環境でおねしょしてしまう場合も考えられるので、新しく買い足す必要はありませんが、着替えはできるだけ多めに持ってきてもらえるとありがたいです。持ち物も忘れ物がないように準備して欲しいですが、ショートステイ中はお子さんの爪切りができないので、忘れずに爪を切ってきて欲しいです。
当日の流れ
①里親と顔合わせ
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SOS子どもの村では、利用者と里親が直接会って話をすることを勧めています。どんな人が子どもを預かってくれるのか確認できた方が保護者の方に安心してもらえるからです。
預かる際には、普段の生活のリズム、好き嫌いやアレルギーの有無などを再確認するようにしています。お風呂が好きでも頭から水をかけられるのが苦手だったり、嫌な食べ物があると癇癪を起こすなど、保護者の方と話した時にわかることもあります。
まとめ
育児に疲れを感じるのは当然のこと。
福岡市のショートステイ里親制度は、そんな保護者の味方となる素晴らしいサポートシステムです。
年間利用日数の柔軟性、24時間対応の緊急サポート、区ごとの里親交流会など、福岡市ならではの充実した支援が特徴です。費用も1日あたり2,750円で、所得に応じた減免制度もあるため経済的な負担も最小限。
「子育ては一人でするものではない」という考えのもと、計画的にショートステイ里親制度を活用して、親子ともに健やかな毎日を過ごしましょう。申請は区役所の子育て支援課から簡単にできますので、育児疲れを感じる前に、ぜひ一度相談してみてください。あなたの「SOSサイン」を見逃さないことが、幸せな子育ての第一歩です。
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